2017年1月31日火曜日

死と芸術と生

いよいよ7日から。よかったら足を運んでみてください。私自身も楽しみです。



ラッキーボーイには興味がない。

才能も運もあって、
人々に愛され、
天馬のごとく時代を駆け上がっていく寵児の笑顔には。

スポットライトを浴びる天真爛漫なその笑顔を愛でるのは別の人でいい。
私ではない別の人が、その笑顔をいくらでも贖えばいい。

私が振り返るのは影をもつ顔だ。

笑いながら泣いている複雑極まりない顔だ。

その顔に2つ穿たれた、光が溶けてなくなった瞳だ。

それが本当の人生だ。

人間は本来カネのためではなく、己のために、徹底して己が生きる理由を探すために創作をする。
言葉にはならない声をかたちにする。
懸命な息継ぎの間から産み落とされたものでなければ、私の凍った心は決して動かされない。

死を意識しない創作などあり得ない。

だから生き残ることに執着する金持ちの趣味からはできるだけ遠く離れよう。

彼らは早かれ遅かれ偽物の創作に裏切られることになる。

私が目を注ぐのは名も無きもがく人だ。

触れたらすぐに破れてしまいそうな、
薄い膜でできた半透明の心をもつ、
弱くて、強い人だ。

それは日々街や電車ですれ違う、あなたのこと。


三隅健君。

私はあなたより10年長く生きています。

だけど何も見えないよ。
この世界はやっぱりわからないことばかりだ。

あなたは何を見たか。そして何を見なかったのかな。


今こそ、あなたが生きた世界の、揺るぎない真実を見せてください。