今日、ロケットを打ち上げる人
今日、渾身の製品を売り出す人
今日、いい知らせがくるのを待つ人
すべての人にとって、今日は勝負の日
昨日の、1週間前の、1年前の、10年前の、100年前の、
私の何気ない行動や思いが、かたちを伴って表れる、
それが今日という日
というわけでZAZEN BOYSの赤坂ブリッツ。
「開戦前夜」で、私のなかの「戦士」が束の間目覚める。
勝っても負けても 己の勝負
勝っても負けても 己の勝負
勝っても負けても 己の勝負
勝っても負けても 己の勝負
色々あるけれど、正直思う。
本来、勝負には和解も仲裁もない。金メダル半分個するかい。結局、先に取った者が勝ち。白か黒かが、生命の理。わかっとる。
だけど、今はそういう時代でもない。
殺気を殺し、感情を封じ込めての、和睦と協調、共生。
コラボレイション。
ああ、わかっとるとるとるとる。
色々あるけれど、正直思う。
本当は刀を抜きたい。
目の前の敵を今すぐ倒したい。
相手は手強い。
技術と体力は五分五分でも、経験と知恵の差で負ける。
それもわかっとる。
それでも。
負ける戦いと分かっていても、己の心には負けたくない。
たとえ死んだとしても、それが生きるってことじゃあないのか。
私のなかの「戦士」が怒鳴る。
だけど所詮、そいつは私の心の鎖につながれている。
それで結局、ふて寝。
それで結局、ふて寝。
熱狂のライブ・ハウスから吐き出されて、赤坂の飲み屋街を駅までほっつき歩いた。
あちこちの居酒屋の入り口付近で、この宴からあの宴へと移らんと欲する師走の人々の群れが入り乱れ、カオス化していた。
私は何食わぬ顔をしてその中に立ってみたかった。
「ご挨拶がまだで大変失礼をいたしました」と名刺を差し出し、
「今年の勝負はいかがでしたか」と尋ねてみたかった。
酔った人は私が誰かなど知る由もない。
かの宴で後から合流した取引先の誰かだろう、くらいは想像するだろうか。
「にしても貴殿、今年の勝負はいかがでしたかな」
ある人は「いやあ」と唸り、ある人は「まああ」と遠吠えするだろう。
ふん、私はそれでは満足しまい。勝負しない者に興味はない。
「完全勝利を飾りました」「完膚なきまでに敗北を喫しました」と断・言する英傑に相まみえるまで、私は赤坂の飲み屋街を彷徨い続ける。
今日は勝負の日
よく晴れた冬空の下を颯爽と行く、無言のあなたと同じ