昨年秋、新宿・Bギャラリーで行われていた個展「toolbox EXHIBITION 01」で、「なんだこのひとたち!」ととても興奮したのを鮮明に覚えている。メンバーの1人が京都に帰るところを「話を聞きたいのですが!」とひきとめ、挨拶もそこそこにいきなりインタビューをはじめたのだった。見たことがないようなものばかりだったので、聞きたいことがたくさんあった。そして数週間後には掲載の予定もないのに京都の工房に飛び込んでいったという、奥手な私にしては大胆なあれだった。
彼らの話もすごくおもしろいのだけど、とにかく作品がすごくて。もう、おかしいねこれ、とでも言うしかないレベルでして。「高い精度」「ユーモアと遊び心ある」などありきたりな言い回しなど一蹴、むしろ彼ら真剣に遊びすぎたあまり、キレキレに研がれた刃物のような緊張感すら漂っている。ぬくもりとか癒しとはほど遠い。そういう木工、今まで見たことありますか。
(詳しくはどうかAXISをご覧に・・)
メンバーは「手が器用で頭が良ければ誰でもできる、あはは」って笑うけれど、全然そうは思わない。いくら見た目がいけてて、歌もうまくて、いい学校出てても、いいアーティストにはなれないのと同じで、根本的に針が振り切れてる何か、オーディエンスの深層心理を一瞬で引っつかんでいくような、極端な何かがくすぶっていなければ。
toolboxにはどうもそれがある。問題解決や用途ありきのものづくりではないから分かりにくさもある(そこがいいのだ)。よって評価も割れることだろう。プロダクトでもクラフトでもアートピースでもない、従来のモノの見方ではたぶん通用しない世界観。どこに行っても「なんだこりゃあ」となる。で、スルーされているのかと思ったら、誰かが一気に全部買っていってしまうような。
音楽か。空気か。目には見えない、尖った何かを共有する遊び。としか今は言えない。これからいったいどうなるんだろう。ワクワクハラハラしながら、これからの動きが気になって仕方がない。
そんなtoolboxの、二回目の個展が京都で開催中。
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「toolbox EXHIBITION 02」ホテルカンラ京都 ※写真はすべてtoolbox提供 |
会場はギャラリーではなくホテルのロビーです。そういう場所を選ぶところもまた。
前期の展示が終わって、16日から後期がはじまっている。5月1日(日)まで。
「toolbox EXHIBITION 02」
ホテルカンラ京都
AXIS 「jiku」 記事
「加工精度を表現として見せる。toolboxの個展が、3月18日から京都でスタート」
といいつつ私自身まだ行けておらず、行けるかどうかすらあやしくなってきた今日この頃、せめてお近くの方や今週末から始まる京都国際写真祭2016においでの方々に向けてお知らせしたいと思った次第です。ぜひ実物をその目で! (私も行けたらレポートします)