太陽の塔が元気にそびえる万博記念公園。今は自然豊かな憩いの園へと姿を変えたが、70年代の日本をぐぐっと押し上げた経済の熱気と人々の期待感のようなものはまだその土地に染みついているような気がする。
忙しげに車が行交う高速をはさんだ向こう側に、今日新しい商業施設「EXPOCITY」がグランドオープンを迎えた。そして同敷地内には創業25周年を迎える海遊館が新たに取り組むミュージアム「ニフレル」も本日開館。きっとたくさんの人々が、今まで見たこともないような斬新な展示のなか、感動の声をあげて動物や魚たちとの対面を楽しんでいることだろう。
筆者は一足お先に内覧会にお邪魔してきたところだ。一番感じたのはニフレルの運営に関わる人々が本当にいきいきとして、新しいことに挑戦する自負とこれから何が起きるのかという期待感に満ちていることだった。
展示手法や演出もアイデアいっぱいだが、加えて大阪の洒落やユーモアセンスもたっぷり生かして、まず現場を守るご本人たちがプロジェクトを楽しんでいる、という印象。そういう雰囲気は何も知らない来場者にもきっと伝わる。
ここでは彼らをキュレーターと呼ぶ。飼育「員」や「スタッフ」ではない。一人ひとりが訓練された技術や知識、経験を有するスペシャリストである、という意識によるものだ。誰よりも自分こそが一緒にいる生き物を愛し、その不思議さや力強さに畏敬の念を抱いていて、それを誰かに伝えたい。伝えるために何をするのか。それを自ら考えてアクションを起こしていくのだから、間違いない、キュレーターだ。
既にご存じの方もいると思うが、あるフロアでは動物が放し飼いになっている。これは本当にすごいチャレンジだし、管理上の困難も多いことだと思う。どんなハプニングが起きるか分からない。でもそれをあえてやる。なぜか。「伝えたいから」。そうした熱い想いの集合体がニフレルを形づくっている。ハコだけ立派な時代は完全に終わったのだ、と確信した。
さて、旅多き我が家もこれから大阪に立ち寄ることが多くなりそうだ。家族みんなで出かけて、その新しさや楽しさを分かち合いたい。
(12月1日追記)
AXISのwebサイト「jiku」にて、ニフレルの記事が公開されました。
現場で体験し、ニフレルのメンバーや映像インスタレーションを手掛けたアーティストにも話を伺いました。展示の新しさやそこにかけた想い。どうぞご覧になってください。
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