misaharadaの帽子は、頭部に添わせる、という制約のなかで機能と趣向を凝縮しながらバランスさせる芸術である。日よけや防寒といった用途ありきのそれとは異なり、身につける服に共鳴あるいは反響しながら、装いをひとつの表現として完成させるための要素。
misaharadaの帽子は、優美でありながら力強くもある。材料を引きたてつつ料理全体の印象を司る、仕上げの香りづけのように。時に、心地よい刺激がその人の内面をわずかに見え隠れさせることもある。試しにmisaharadaの帽子を被ってみると、鏡の向こうに私の知らない自分を見つけた。
misaharadaの帽子は、それ自体創造の喜びにあふれている。鳥の羽やブリザードフラワー、プラスチックのチューブにオーガンジー。頭に載せる小さな基礎の上でこれらの素材が祝福され、のびのびと踊っている。コンサートやパレードのためにオーダーされたこれらは、原田氏の覚醒とも言うべきイマジネーションが発揮されて、そこに置いてあるだけで当時の歓喜の場面を生き生きと蘇らせてしまう。
misaharadaの帽子は、心を浮き立たせる魔法だ。
原田美砂「HATS OFF!」- 賛美の帽子 -
2015年11月20日(金)-12月27日(日)
11:00-20:00(入場は閉館の30分前まで)
入場無料/会期中無休