2015年10月13日火曜日

世界のヒョウタン展 ―人類の原器―

まず、そのかたちがいいじゃないですか。

なんだかおめでたい存在感。

国立科学博物館
世界のヒョウタン展 ―人類の原器―
2015年9月15日(火)~12月6日(日)


軽くて、密閉できて、手に入りやすくて、加工しやすい。ひょうたんって本当に優れた材料である。土器の原点ともいわれる。人類がひょうたんを発見しなかったらどうなっていたことだろう。

で、水入れやもの入れなど保管と移動に必要な容器としてだけでなく、装飾品や楽器など文化や精神を豊かにする道具、鑑賞の品としても、みんなが好んで使いたくなるところがひょうたんのすごさだ。貝殻や紐で飾りつけたり、ちょっとファンシーな彫刻など施してみたくなるような支持体としてのポテンシャルがある。たぶんこの、5:3:7の豊満なフォルムと撫で撫でしたくなるテクスチャが重要なんだと思う。つまり、色気ですなあ。







そういうわけで世界各国の珍しいひょうたんグッズが所狭しと並んだ本展。個人的には、全日本愛瓢会なる組織(名誉総裁は秋篠宮文仁殿下)が創立40周年を迎えたことに感銘を受けました。以下の綱領も素敵です。


瓢道 綱領

一、飄々を旨とし小事にこだわるべからず。

二、円相は平和の象徴、和を第一と心得べし。

三、くびれは奢りの戒め、謙虚を旨とすべし。

四、空は無欲の鑑、利に走るべからず。

五、不沈は不屈のあかし、精神力こそ肝心なり。


全日本愛瓢会(平成七年一〇月吉日制定)

(※全日本愛瓢会のHPより)


 本展でカタログのようなものはないが、同館一階のミュージアムショップで民族植物学の湯浅浩史先生による『ヒョウタン文化誌――人類とともに一万年』(岩波新書)が販売されていて、内容もわかりやすくて面白く、大変勉強になる。本展の展示物の多くが湯浅先生が世界各国を回って収集したコレクションとなる。ひょうたんに魅せられた研究者の情熱にも思いをはせたい。