2015年10月28日水曜日

素材の出会い系

この秋のデザインウィークは「素材」が面白い。

会期が終了してしまったものもある。早くお伝えできればよかった。ジャンル問わずものを作る方に広く見ていただければよかった。

世の中には実にさまざまな技術や材料がある。

素晴らしい技術で可能性も十分あるのに、作り手とうまく出会えないがために埋もれてしまっているものがなんと多いことか。そう、出会いがない!!

そこで材料と作り手をマッチングするビジネスが登場する。言い方が相応しいか分からないけれど、マテリアルの出会い系。あるいはマテリアル紹介所。なんだかすみません。でも、ずばりそういうことです。

こうした材料コンサルティングでは、主に作り手の「こんなものを作りたいので何かいい材料ないかな」といった話(悩み)を聞き、膨大なデータベースからそのニーズに合いそうな材料とメーカーを紹介する。あとは個人同士のやり取り次第だ。

とあるコンサルティングの場合、作り手は材料や加工技術のデータベースを閲覧したり、カウンセリングを受ける際にいくばくかの利用料を支払うことになる。しかし自力でイチから探したり、出会い運を天に任せるよりは高い確率と効率性を得られる。海外のユニークな材料にアクセスできるところもメリットだ。

話題のTPPが順次発効していけば今後こうしたサービスは増えてくるだろう。メーカー側にとっても特性ある材料を積極的に外に紹介していくチャンスでもある。

ともあれ、ものを作る人は、合同展示会のほかにもこうした出会いの選択肢がある、というということを知っておくとよいかもしれない。またプロだけでなく学生のうちから材料や技術のデータベースに触れてボキャブラリを蓄積しておくことも有効かと思う。教育機関などがこうしたファームと契約して学生向けの閲覧サービスを提供できるなら素敵だ。

よい出会いを。


青山ではマテリアルの合同展示会「青フェス」を開催(10月25日~27日)。(株)SHINDOは光ファイバーやLEDを編み込んだテキスタイルを発表。洗濯も可能とのこと
金沢のカタニ産業は金箔の新しい技術を展示。着色箔はカラーバリエーションも豊富
昭和飛行機工業はアルミのハニカム技術を紹介。「FLEXハニカム」は曲面の成形が可能な材料
屋上ではデザイナーがマテリアルの実験的な試みを発表していた
「動の和紙」STUDIO BYCOLOR
手漉き和紙の製造工程にエキスパンドメタルを使うことで独特のテクスチャーを生み出している
「mold」小宮山洋
射出成型によってできたばかりの熱いアクリル樹脂を床に落としたり、膨らませたりして個性を与えるプロジェクト

「R-FRP」kamina & C
皮革やフェルトの裏面にレジンを塗布し、柔らかいテクスチャーを維持しながら強度をもたせるというユニークな実験

「Composition」TAKT PROJECT
アクリル樹脂に電子部品を封入したもの。電気が通る素材なのでパーツが実際に機能し、LEDが点灯する
外苑前のMaterial ConneXion Tokyo(マテリアル コネクション トーキョー)では、デザイナー5組が新しい素材を使ったプロトタイプを発表中
大規模なマテリアルのライブラリー(マテリアル コネクション)