2015年10月19日月曜日

大人のつみき

子供を建築家にしたいなら、つみきをやらせた方がいい。

それはもう、フランク・ゲーリー氏や隈研吾氏、世界で活躍する建築家の方々が自身の建築の原体験について語る時、「つみきで遊んでいた」と仰るので。つみきはきっと、建築に必要な、また建築だけでなくものをつくること全般においてなにか大切な感覚を育ててくれるのだろう。

じゃあ、つみきは子供だけのものかといったらそうじゃない。

大人だってきっと楽しい。

頭を使ってパズルを解くようなものではなく、またお手本どおりに組み上げるようなものでもなく、感覚に任せてひたすら積み上げたり、並べたり、壊してはまた積んで、といったような遊び方だ。昨日はこう積んだが、今日はこっちの方がしっくりくる、ということもあるかもしれない。

できれば箱にしまったりせず、仕事机の上やトイレの片隅とか、一人で居る場所に常設しておく。で、気になったらちょっと積んでみる。たぶん誰にも理解されないけど、それでいい。自分の感性と手触りだけの世界に埋没してみる。

脳トレ、とか、オブジェ、とか考えるともうつまらない。そこにあるからさわる程度の関係性がふさわしい。自分のなかで何かが変わるかもしれないけれど、まあたぶん変わらないだろう程度の低い期待感が丁度よい。ときどき妖怪のしわざで配置が若干変わるかもしれない。そういう無言の応酬が発生したら、それはそれで少し楽しい。

答えや満足なんて見つからなくったっていい。それがつみきのいいところ。

この秋、東京でもそんな“大人のつみき”がちらほら。


建築家 フランク・ゲーリー展
21_21 DESIGN SIGHT
~2016年2月7日まで

フランク・ゲーリー展
ル・ルボ脳研究所(アメリカ・ラスベガス、2005)のためのスタディ

フランク・ゲーリー展
エイト・スプルース・ストリート(アメリカ・ニューヨーク、2003)の模型

「つみきのひろば」
東京ミッドタウン・ガーデン 芝生広場ほか
~11月3日まで

「つみきのひろば」
建築家/美術家 佐野文彦「木ヲ見て森ヲ見ズ 森ヲ見て木ヲ見ズ」

隈研吾氏とmore treesが開発した「つみき」のインスタレーション




toolbox exhibition "toolbox"
B GALLERY
~ 10月28日まで
toolbox「建築するつみき」