2016年2月27日土曜日

雑貨展



2016年2月26日(金)- 6月5日(日)
21_21 DESIGN SIGHT


すごいなあ、深澤直人さん、とても難しいテーマに取り組まれたなあ、、というのが最初にタイトルを聞いた時の印象。

一つひとつを取りあげればそれは「商品」であり「作品」であるわけだけれど、それらがまとまって「雑貨」という集合名詞で呼ばれた時にその価値はどう評価されるのか。「雑貨」とくくられるものをたくさんつくってきた深澤さんの実体験からもそのことに疑問を感じてきたのではないか。

で、雑貨とは何かを定義しようとしてみたり、そもそも「雑」という言葉の意味を考えてみたりしたという。雑貨通の人や目利きの店主たちを呼んで一緒に考えてみた。でも定義なんかできないから「雑」という字がつくのだし、結局出た答えは「雑貨って人それぞれだね」ということだったのだと思う。

雑貨って編集のこと。やっぱりそうかと確認できた時に、きっと企画の敷居はぐっと下がって、みんなきっと肩肘張らずに楽しく取り組みはじめた。会場では、ピックアップされた個性的でいけてる雑貨屋さんの編集の背景にある考え方とか物語、それから一番大事な「センス」のエッセンスが表現されている。小さな展示スペースにコンパクトに詰めこんでも、その店らしさがちゃんとあるのはさすがだ。

今回はどうも、お勉強になるというタイプの展覧会というよりは、割とすごい物量の“ものもの”と向き合ってお話でもするような感じか。ちょっとこだわりのある人々が編集したものものがある程度の量まとまり、特定の見せ方の元で発せられる独特の空気感を感じ取っていくという体験。だから来場者の方も、「人によって雑貨の捉え方って変わるんだな」とか「私だったらこういう編集をしたいな」といったことをそれぞれに考えるのがきっと楽しいと思う。

せっかくならその場で買えたら最高なのだけれど。手で触れて、匂い嗅いだりして、お店の人と話して、でもって最終的に消費できる前提というところまでが雑貨!とは思うけれど、今回はあくまで「雑貨展」なので。「雑貨店」ではないので。物欲ゲージが最大に高まってしまったら、エントランスの特設ショップで発散するか、実際に各お店に足を運んでみて下さいね、というわけである。



展覧会ディレクター:深澤直人
企画:
    井出幸亮/テキスト
    熊谷彰博/コンセプトリサーチ
    中安秀夫/コンテンツリサーチ
    橋詰 宗/展示グラフィック
会場構成デザイン:荒井心平(NAOTO FUKASAWA DESIGN)
会場構成協力:五十嵐瑠衣
ショップ監修:山田 遊(method)
展覧会グラフィック:葛西 薫
企画構成:前村達也(21_21 DESIGN SIGHT)

参加作家・出展者一覧

[参加作家]
青田真也、池田秀紀/伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)、WE MAKE CARPETS、川原真由美、国松 遥(Jamo Associates)、小島準矢(Superposition Inc.)、島本 塁/玄 宇民(CGM)、清水久和(S&O DESIGN)、シンプル組合&RONDADE、菅 俊一、D&DEPARTMENT、寺山紀彦(studio note)、野本哲平、萩原俊矢、藤城成貴、町田 忍、松野屋、三宅瑠人、フィリップ・ワイズベッカー

[出展者]
井出恭子(YAECA)、岡尾美代子、小林和人(Roundabout, OUTBOUND)、小林 恭・マナ(設計事務所ima)、たかはしよしこ(S/S/A/W)、平林奈緒美、ルーカス B.B.(PAPERSKY)、PUEBCO INC.、保里正人・享子(CINQ, SAML.WALTZ)、松場登美(群言堂)、南 貴之(alpha.co.ltd)、森岡督行(森岡書店)